【天国と地獄】実録ふつう人のおっさん伝 5 注目すべき人々との出会い

Oさんは一種の変わった人?だった。私の普通の男子のように、女性は好き、ビデオも好きという正常な?感覚の男ではなかった。その辺を理解するのはうまく言葉が思いつかない。しかし彼の部屋でエロビデオを鑑賞するわけでもなく、ただつまらない話をぐだぐだ長話をしていただけしか記憶にない。Oさんは大のコーヒー好きで、その影響で自分もコーヒーを飲むようになった。砂糖やミルクの入れないブラックで。生活にもこだわっていて、家具や調度品にもこだわり、部屋はシンプルでキレイなまるでホテルのような部屋だった。この部屋には女は無用だのだ。

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Oさんに趣味と言えば、旅行だった。ホテルを掛け持ちして貯めたお金で、飛行機を使い地方へ行き、そこで美味い酒と美味い郷土料理を食べることだった。地方の高級ホテルに泊まり、地方の名物とお酒を嗜む。これが彼の趣味だった。電話してみるといないこともあり、突然旅行に行き、突然帰ることはしょっちゅうあった。この頃から飲食業に向けてシュミレーションしていたのかも知れない。飲食経験のない自分に「なにができるのか?」と毎日自問自答していた。

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その旅行とは、自分探しの旅行だった。飲食業を開業するにあたって、「なにをする?」か模索してした時期だった。候補にあがったのは、ラーメン、カレー、居酒屋とあったらしい、最終的には、焼き鳥をメインとして、美味い日本酒を出す店だった。焼き鳥もこだわり、比内鶏という放し飼いに育てた鶏を考えた。比内鶏の肉質は上品な柔らかさとコクのある味わいがある。一般のブロイヤーの焼き鳥とはまったく異なるものだ。かつてかれが見た地元の焼き鳥屋の光景を思い出された。

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煙がもうもう立ち昇り、焼酎を飲んでいる焼き鳥店。大人たちは、焼き鳥片手に、酒をグイッと飲む、そんな懐かしい光景が目に浮かんだ。庶民的な焼き鳥屋、これに付加価値を付けたのが比内鶏だった。焼き鳥屋を選択した理由は、かつて見た焼き鳥屋の光景が強かった、でかつて自分が仕事終わりに体験した至福の時だったのだろう。苦しい労働を終えて、焼き鳥を食べ酒を飲むという至福の時はこれ以上の幸福はあるだろうか?それを大西さんは事業を決めたのだ。

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開業する前に、彼はある夢をみたという。小さな店で煙がモウモウとしている光景。その店内では仲の良さそうな夫婦が焼き鳥屋で、奥さんがお客に酒をついでいるという光景。その夢が鮮明に残り、この夢が連日続いたらしい。店内は混雑しいて、お客は焼酎片手に焼き鳥を食べていたと言う。この夢に後押しされたと言う。その当時彼の中には、ラブホテルも事業計画の構想もあった。

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ラブホテル計画と個室ビデオの事業計画もあった。当時流行りだった個室ビデオは新宿に数多くあり、見まわせば個室ビデオの看板ばっかりだった時期もある。ラブホテル計画もあったが、彼自身それほど焼き鳥屋ほど積極的ではなかった。その後の成功を考えれば、焼き鳥屋で正しかった。そういう経緯を経て一大決心をした。不動産物件を探し、代々木にある地下の物件を契約したのだ。