【天国と地獄】実録ふつうのおっさん。最高の栄誉wミシュランビブグルマン受賞 12

この時期から、●●●の経営が順調にいっていたので、●●●2号店を出そうと考えていた。そしてこの2号店の話に乗ってきたのが、生活保護の保証人になっているおばさんの息子だった。自分より年下のいとこだった。昔は家を行き来して遊んだりして楽しい経験がある。ホスト狂になる叔母の素質を持つ体質なので、この従妹もその悪い点の遺伝子を持っていた。いとこが考えたのは、焼き鳥と高級ワインを組み合わせたお店というコンセプトだった。

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それも銀座で。銀座はバーやクラブ、料亭が数多くあり、銀座に通う客層も一般人とは違い、お金を持っていた。これを計算しての出店だった。詳しい場所は知らないが、本当に隠れ家的焼き鳥とワインを楽しめるお店、開業当初のコンセプトそのものだった。しかしいつOさんに経営状態を聞いてもいい返事はなかった。経営はいとこ自身がやっているから、問題はないのだが●●●という名前を使っているのから、「Oさんがオーナーだから」

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お客さんは「新宿●●●の系列なんだな?」と勘違いするという点だった。新宿店と銀座店は焼き鳥の内容から、お酒も違っていた。本店の日本酒からワインになっていた。Oさんは口癖のように「焼き鳥に合うのは、日本酒しかない」と口酸っぱく言っていたのにも関わらず、勝手にお店のコンセプトを変えて無理やりメニューを変えた。お客的には、やはり新宿店のような雰囲気と焼き鳥を期待しているので、そのあたりは大問題だった。しかし銀座店オーナーのいとこに、この件を話すと「キレたような感じで嫌になる」という返答しかない。まあ自分の経営方針は正しいと言いたいのだろうが、いとこの経営センスは素人目線だった。

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しかも本家を名乗っているという噂もあって聞き捨てならなかった。これが他人なら、手を切ればいいだけだが、相手はいとこという面倒くさい立場なのだ。だからOさんは、強く言えなかった。これが後々地獄への入り口となった。開業して6年目になると口コミや食べログなどで評判になり、お店に外人から、全国津々浦々に至るまで、いろいろな客層のお客が来店するようになった。

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そのなかにはミシュラン関係者もいた。ミシュランとは、評判のお店や名店を紹介する世界一有名な情報誌だ。そのミシュラン関係者が来店した理由は、●●●がオリジナリティに溢れたメニューで、お店のコンセプトや雰囲気がミシュランが評価すべき対象にあるとしたからだ。何回かミシュラン関係者が来店した。ミシュラン関係者は一般客に紛れ、身分を隠してお店に来店する。

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評価する点数が良ければ、ミシュラン会議で表彰の対象となる。突然Oさんに、ミシュラン関係者から電話があったと言う。代々木の開業以来、驚くべきサプライズだった。飲食店をやっていればミシュランに評価されることは、夢のような出来事だ。自分のいままでやってきた味と店作りが正式に、それも世界的に有名なミシュランという名誉あるグルメ評論家から、評価されたわけだ。まさに天にも昇る思いだった。そんなうれしさの微塵も見せない?不思議なOさんなのだ。ただ自慢話のようにするという感じだった。イマイチわからない人だ。

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食べログとか個人的評価は、ばらつきがあって、恣意的な評価もある。だから一喜一憂しなければならない。食べログのような評価に右往左往されるお店も多く、それがまた食べログの存在価値になっているのだ。だから飲食店が食べログに抗議しても、「それは個人的主観ですから」という理由で無視される。これにはいつもOさんは怒りをあらわにしていた。万全の態勢でお店をやっていても、クレームをつけるお客はいる。ある時、小汚い格好のお客が来店した。体臭がひどく臭く異常な印象しかないお客だった。毎日食べログをチェックしていたが、この印象深いお客の日のお店の食べログを見て見ると、最低の評価が付けられていた。Oさんはこれに抗議したが食べログは一切無関係とした。そしてこの人物の数多くの書き込みがあった。どうやら確信犯のようだった。確信犯的に低評価をつけたり、恣意的に高評価をしたり、裏の目的があるのでは?ないか?と憶測した。

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悪意に満ちたコメントから、皮肉を書くコメントもある。それは個人的主観だから、お店が抗議しても評価を覆すのはムリなのだ。ミシュラン関係者からの電話があって数か月が過ぎた。その間にもミシュラン関係者が来店したのか?していないのか?不明だが、実際に次に連絡があるまで期待と緊張と興奮があった。この時期のOさんは、いつもこの話をしていた。

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うれしさと期待が交差して、「もし落選したらどうしよう?」という不安があった。だからこの時期は店のスタッフには、「どんなお客さまにもそそうがないように」と前よりも強く言っていた。そしてついにその時が来た。日本初、焼き鳥店初のミシュラン入りを果たしたのだ。詳しくはビブグルマン賞という輝かしい賞だ。喜怒哀楽を現さないOさんだが、内心飛び上がるくらい嬉しかっただろう。

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無事ミシュラン誌に掲載された。これにより、より一層、●●●の知名度は急上昇して他店の同業者は来店した。その結果大手チェーン店では、●●●のマネをしてメニューに取り入れた。飲食店のメニューには著作権と言うものがないので、パクリたい放題なのだ。ラーメン店では、大勝軒や二郎があるが、本家から独立したお店はやっぱり本家とは違うものだ。ラーメン店はやはり本家を超える店はない。それは大将にしかないなにか他のエッセンスがあるのかも知れない?だが、焼き鳥は素材さえよければいい。そして炭にこだわり、味付けをすればいいだけの素人にでもできる分野でもあるのだ。

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ラーメンは比較にならないが、比内鶏を使った高級焼き鳥は、それ以来需要が高まっていった。焼き手のnも鼻高々だったと想像する。特に奥さんは「あなたのおかげでミシュランが取れた」と言っていただろう?想像に値する。そして表彰式があったのだが、Oさん自ら出席せず、焼き手のnが出席したそうだ。???これには私は「なんで名誉あるミシュランの表彰式に参加しなかったのですか?」と聞くと黙っていた。よくわからないが、公の場に出るのが嫌なのか?と思った。●●●は自分の子供みたいなもので、育てていままで来たわけで、その子供のような店が表彰されたのだから、表彰式にOさんが行くべきでは?と思うのだが?なぜ焼き手のnに行かせたのか?は意味がわからない。

つづく