【天国と地獄】実録ふつう人のおっさん伝 8 注目すべき人々との出会い

新店舗を探しに新宿を探した。なぜ新宿なのか?それは人口数と居住数が一番比例する場所だからだ。慣れ親しんだ場所ということもあった。商売するうえで、場所は一番重要だ。自分がその場所に愛着を持つか?持たないか?で結果が現れる。そこで西新宿を見つけた。なぜ?ここ?この場所は再開発のうわさがあり、10年後には区画整理されるらしいという話を小耳にはさんだからだ。都の再開発ともなれば、撤去に伴う費用も多額になるので、事業資金になる。この可能性に期待した。彼はここに未来の希望を見出した。

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そして代々木の常連客に惜しまれながら、西新宿へ移転することにした。それから、当然常連客の足は遠のいた。しかし店舗は代々木の倍以上になり、お客さんが20人来ても飲食できる広さになった。とりこぼしのお客さんをお断りすることがなくなった。だから当然売り上げも以前の倍近くなり、順調な滑り出しになった。しかし駅から遠くなってしまったので、気軽に立ち寄る感覚ではなくなった。「とりや」を目指すという少しコンセプトが変わってしまった。それにより客層も変わり、近所の外資系の役員が利用したり、店周辺の主婦が来たりした。代々木の頃の大学生たちも卒業して辞めていった。

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そこで遠藤さんという友人にフロアーマネージャーを任せた。遠藤さんは当初「新規店なんだから、売り上げがなくてもボランティでがんばるよ!」と熱い友情愛を見せていた。しかし、とりやの細かいメニューと日本酒の説明とか、慣れるには時間がかかっていた。お客さんも、そんなマネージャーにいら立つシーンもあった。彼は自称芸術家で油絵のオリジナルな抽象画を描いていた。「まあ売れない絵描きさん」と言ったところだろう。少し個性が強く、九州男児の頑固さがたまにキズで、Oさんにミスを指摘されると、逆切れするシーンもたびたびあり、遠藤さんの時間とともに出てきたと言う。そして半年後、やはりオーナーのOさんと衝突することになった。給料の件、待遇の件、勤務時間の件。他にもうっせきした気持ちを爆発させた。

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友人と思っていた人からの攻撃だった。予想してなかった友人からの攻撃で彼は人間不信になった。せっかく行くあてのない遠藤さんを使ってやってたのに・・・という気持ちだった。そんなフロア・マネージャーは直接お客さんと接客するので、ある意味パーフェクトな接客でなければならないのだ。そのために30万円以上の給料をだしているのだから。遠藤さんが辞めた後、あらたにフロアマネージャーを採用した。そして大西さんは変則的に店に足を運んでオーナーとして店を運営していた。スタッフの動き、お客さんの出入り、レジのチェックをするため店内に監視カメラを取り入れた。

つづく