【天国と地獄】実録ふつう人のおっさん伝 9 注目すべき人々との出会い

ネットシステムを取り入れ、自宅でのんびり監視カメラで店内を見てスタッフの動きを監視した。店内でなにか気になることがあると、直接店に電話した。監視することで店の動きを見て、バックヤード的の役割をしていた。やがて西新宿が定着してくると、さまざまな営業が毎日出入りしていた。そしてとうとう、ある事件が発生した。数人の会社帰り風?の男女数人のお客さんが来店した。ごく普通に飲食を済まし店を出た。次の日、そのお客から一本の電話が入った。

[ad]

「先日・・・そちらを利用したお客ですが?出された焼き鳥で腹痛を起こし、食中毒を出した、どう責任を取ってくれるのですか?」という苦情?クレームだった。あきらかにウソだった。当日は、いつものように焼き鳥を加熱調理していたし、日本酒にもまったく問題なかった。Oさんは、このお客が頼んだメニューを照らし合わせ、問題とされた焼き鳥を調べた。しかし調べても食中毒を起こすような根拠は当たり前だが、全くなかった。飲食店の一番恐れていることは、食中毒なのだ。食中毒が発生すると、その店は致命的な営業傷害となり、ヘタすれば倒産するかも知れないのだ。ニュースでも時々食中毒が事件になるが、弁当でも飲食店でも食中毒を出した店は、信用が失われ、顧客を失い、お客の評判を落とし倒産するかも知れない。これを真正面から言ってくるというのは、金銭目当てという意味だった。

[ad]

悪質な金銭目当てのクレームとはわかっていた。相手は「保健所に通報します」と言う。これに対し、Oさんはさんは相手にせず「どうぞ勝手にしてください・・・」と言ったそうだ。代々木の頃にはなかった、悪質なクレームだった。この時、「大事に至らないだろう?」とこの件を見過ごしていた。しかし現実には、もし保健所がこの通報で動いたら2,3日の休業、もしくは7日間の休業、を強いられる。これを知っているクレーマーがいる。休業は飲食店にとっては死活問題だ。1日の売り上げ、1日の人件費、1日の諸経費を考えれば、予定されていない休業は相当なダメージとなる。それが飲食系クレーマーの思うつぼの手口だ。

[ad]

保健所を利用して飲食店を恐喝するという悪質さ、ある意味暴力団と同じ輩だ。当初西新宿に開業したころ、近場の暴力団が出入りしたらしい。みかじめ料的な要求があったらしいが、Oさんがキッパリ断ると、スゴスゴと引き下がり、その後は来ないらしい。チンピラとか素人の、この種の輩はいやがらせ?金目当てで、あたりを付けた飲食店、繁盛店によく出没することで有名なのだ。過去に、おいしい思いをしてるのだろう?こういうクレーマーに対し、個人の飲食店では弱みがあるので、大抵言われた額のお金を払ってしまうことが多いのが現実だ。この類のクレーマーは普段は「普通の親切ないい人」で通っているが、中身は犯罪者だから始末が悪い。

[ad]

過去の成功例に味をしめた悪人どもは、弱い立場の個人経営の飲食店を恐喝して、示談金と言う形で金銭を要求する。しかし直接お金を要求すると、恐喝になるので、そこはあくまでも示談金というのだ。こういうケースでは、警察も事件ではないので、民事不介入の原則があるから手出しはできない。相談してもムダ。「当事者同士で話し合ってください」と言われるのが関の山だ。

[ad]

だから、こういう詐欺連中はやりたい放題なのが現実だ。繁盛している店に狙いを定め、こういう難癖をつけるクレームをするのだ。この手のクレーマーはチェーン店にはやらない。というのは、経営母体の本社があって、本社には部署があって、苦情対策という部署もある。そして裁判のできる体制が整っている。弁護士もついているので、簡単にはいかないのだ。そんなことは百も承知。だから立場の弱い個人商店を狙ってくるのだ。これは飲食業に関わらず、どのサービス業も同じこと。ただ飲食店はやりやすいのだ。飲食店の苦難は続く・・・

つづく