アンチエイジと精子の質

現代の日本で本当に
アンチエイジング」が求められているのは、健康に対する意識の高い女性よりも無頓着な男性のほうなのです。
男性ホルモン低下、AGA、ED、老眼、前立腺がん、ドライマウス、オヤジ臭、シミ・シワ、尿漏れ、かくれ肥満、ドライアイ等
高齢化すれば体の老齢化の変化は、必ずあります。そこで精の問題を取り上げたいと思います。


朝立ちがまずなくなる。若い時と違い筋肉量、血液、前立腺が退化しているからです。高齢化、偏食で体が劣化していきます。これは自然の理で抵抗できない生理現象です。
しかし遅らせることはできます。次にあげるのは、男性ホルモンと精子に関してです。

男は何歳になっても子どもを作れるのか?
 今年、タレントの石田純一さんは62歳にしてまもなく娘を授かる。チャールズ・チャップリンは73歳で父親になっている。性行為さえできれば、男は何歳になっても子どもを作れるものと思います。

 ところが、実はそんなことはないらしい。
「高齢になっても子どもを作れる男性もいる一方、35歳を過ぎると”精子力”、すなわち妊娠させる力が落ちる男性も多い」と、獨協医科大学越谷病院(埼玉県越谷市泌尿器科岡田弘主任教授は指摘します。

 782組の夫婦を対象に、「夫婦の年齢と妊娠する確率」を調べた研究があります。
妻の年齢が27~34歳の場合、「夫が同い年」でも「夫が5歳上」でも妊娠率はほとんど変わらない。
ところが妻が35~39歳になると、
「夫が5歳上」は明らかに妊娠率が落ちる。つまり、40歳を過ぎた男性は妊娠させにくくなるわけだ。

精索静脈瘤とは、精巣(睾丸)の上にできる静脈瘤。精巣の温度が上がり、活性酸素も多くなるため、精巣の機能が落ちてしまうのだ。
15%以上の男性に精索静脈瘤が見られるが、特に不妊症の人では35~40%にあるという(Urologia. 2014 Jul-Sep;81(3):165-8)。
手術は難しいものではなく、受けた当日に家に帰れる。

 いつまでも”精子力”をキープするには
 精子力(妊娠させる能力)はすでに子作りの必要がない中高年男性にも重要な意味を持つ。
精子力とは男性力であり、男性にとって若さのバロメーター」と岡田教授。

いつまでも精子力をキープすることは全身のアンチエイジングにもつながるという。まずは規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないこと。睡眠時間が7時間を切ると精子の質が悪くなるという報告もある。

 精子の老化には活性酸素が大きく影響している。
活性酸素は老化を進めることで知られるが、とりわけ精子活性酸素に。最悪なのはニコチンと飲酒だ。
大量の活性酸素を発生させて、てきめんに精子力を落としてしまう。
木村講師たちの調査から、「精液の抗酸化力が強い人ほど精子の運動率が高い」ことも分かった。

 ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10など、抗酸化作用が強い栄養素をサプリメントで補うのもいいだろう。
27~39歳の男性不妊症患者55人を対象にした研究で、1日200mgのコエンザイムQ10を6カ月のむと、
精子の運動率が高まることが確認されてい(FertilSteril.2009May;91(5):1785-92)

 精子を作るのに必要な亜鉛やセレンのサプリメントもいい。食品では、牡蠣、レバー、アサリ、ニンニクなどに多く含まれている。

 精子力を高めるには、「ためすぎない」ことも重要だ。

 禁欲生活を長く続けていると精液が濃くなって良さそうな気もするが、精子の寿命は3日程度。
ずっとためておくと、精液中に死んだ精子が増えてしまう。
精子の運動率も悪くなるので、週に1~2回は出したほうがいい」と木村講師はアドバイスする。

 子どもが欲しい人はもちろん、末永く”現役の男”でいるためにも、「精子アンチエイジング」を心がけたい。