【天国と地獄】実録ふつうのおっさん。血縁は裏切らない?地獄への1丁目 16

Oさんに会うたびに、実弟の愚痴ばかり聞かされていた。誰にも理解してもらえない家庭内の問題。一人で問題を抱え込むとノイローゼになる危険があったので、そのはけ口として私は聞いていた。Oさんとは、社会情勢の話もしたが、ほとんどは北海道の実弟の悪行の話だった。同じことを何度も繰り返すオウムのうような、Oさんは、「この人は認知症?」ではないか?と疑ったこともある。それほど実家の様子が気になっていたのだ。だから毎月北海道に帰って実家の様子を妹に聞いたり、親戚にあったりしていた。

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しかし、自分が話したことを何度も言う人って?うっかり忘れているのだろうか?ついさっき話したこと、数日前に話したことを忘れているのか?しかし繰り返す話をするのは、Oさん本人も知っていたのだ。こんな調子でスタッフも個人面談という理由で、話されたら、スタッフ自身もそりゃしんどかったと思う。癖があり過ぎるからだ。もちろんOさんは、悪意はない、しかし話がしつこいのだ。粘着質と言ってもよい。

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いくらお金で雇われ、給料をもらっているとしても、それ以上に精神的負担はヤル気を失うし、なにより経営者はそれが効率的と思うかも知れないが、ネガティブな叱咤激励は返ってマイナスに働く。これは、昨日今日はじまった話ではなく、Oさんの個性だった。納得するまで徹底的に解決するという、半ば完ぺき主義者だった。だからスタッフの細かな言動や、態度が気に入らないと、いちいち呼び出して、問題行動を問い詰めるのだ。

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だからスタッフたちは戦々恐々としていた。そんな中で松戸の男がフロアマネージャーとして新宿●●●に社員になった。最初は真面目な態度で店の売り上げに貢献し、スタッフをまとめていた。責任感のある人物だった。それと同時に、親戚の甥をサブマネージャーにした。この甥と言うのが、将来的にOさんの運命を決定づけた。190㎝ある巨体の甥は、北海道では無職のニートだった。巨体で大食いのオタクの男だった。もちろん彼女はいない。そんな体力はありそうで、漢字検定?1級?という触れ込みを信じていた。

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「なんとか自分が甥を一人前にする」と言う覚悟だった。Oさんは将来この甥に店を継がせて、自分は悠々自適の引退をするという道筋をつけていた。今のままお店が安泰のまま続けば、将来も安定した売り上げがあるので、自分は役員となって店をサポートしていこうと想像していた。その結果修業という形で店に入った。最初はおとなしくもちろん、おじさんのOさんのいう事に、忠実に文句も言わず忠実だった。

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そして次期店長の甥を一人前にするために、他店に甥を居酒屋や焼き鳥店に連れて行き、焼き鳥店修業をさせた。こうして跡継ぎのできた●●●は、未来は明るいように見えた。しばらくすると、アルバイトスタッフから、聞こえてくるクレームがあった。しかしOさんは甥を信用しているので、耳を貸さなかった。次第に甥は、店で勝手にふるまうようになっていった。そんな甥を焼き手も無視を決め込んだ。

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甥の身勝手な横暴に飽きれた新人アルバイトは次々と辞めていった。皆口を閉ざして自己都合という理由で店を後にした。しかし甥の悪行を告げ口して辞めていくスタッフもいた。辞めたスタッフによれば、松戸の男が帰るのが面倒だから、閉店後店に居残り、なんと店の酒をがぶ飲みしていたという???それも自分一人では怖いので、甥を道連れに二人で店の酒を盗み飲みしていた。

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店の出入りの業者からの報告で、ビールの消費が多いので感謝されたと言う。Oさんは、感謝される理由など見つからず???と思っていた。そして売り上げ伝票とビールの本数を調べると、売り上げにはない本数のビールが多くあった。もちろん松戸の男と甥は、タダ酒なのでお金を自腹で払う気などない。店の酒を盗んで二人で飲んで、勝手に食材をつまみにしていたのだ。

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これを知ったOさんは、最初信じられなかった。そして松戸の男と、甥を呼び出し問い詰めた。数字と合わない伝票を出されて、渋々謝罪するしかなかった。そして給料からの天引きをした。この一件で松戸の男は退職した。甥はには、反省して謝罪文を書くように言い渡した。今回の件では目をつむるが、今後一生懸命に店を運営するようにとカツを入れた。