【天国と地獄】実録ふつう人のおっさん伝 2 注目すべき人々との出会い

Oさんの経歴についてですが、北海道の美唄市という街の出身。彼の学生時代は、近所でも評判のイケメンだったらしい。痩せていた当時の写真を見せてもらったが、まあ、そういわれれば、うなずける写真だった。札幌の冬季オリンピックの女子選手との2ショットの写真を部屋に置いていた。痩せているOさんと女子選手は、雑誌の広告にもなりそうなモデルが2人寄り添っているような写真だった。また友人にも恵まれ、「僕の友人になってください」という誘いが、男女ともあったらしい。だから彼の周りには、いつも人だかりができていた。そんな人気者だったらしい。だから友人を煩わしいと思うこともあった。

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女生徒にも人気があったが、彼自身ベタベタする女性関係は好きじゃなかった。普通の男子であれば大喜びするものだが、彼は冷めていたらしい。バレンタイデーのチョコも大量にもらっていた。誰もが羨む学生時代だった。だが、寄られると煙たくなるという特異体質だった。クラブに入れば、「いつもリーダーにさせられた」と言います。どこにいても注目されたので、彼の弟や妹は兄を誇りに思っていた。近所のおばさんがお母さんと話をしていて、おばさんはOさんを見て「あのモデルさんのような人は、どこの人?なのかねえ?」と言っていたらしい。そこで「あれは家の子だよ」というとビックリしていたそうだ。

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そんな恵まれた青春時代を過ごしたのだ。学校が駒沢付属の高校だったので、卒業と同時にあこがれの東京に上京し、駒沢大学に入学した。だがしかし、彼は1年で退学した。理由は好きなホテルマンを目指すためだった。学校を退学すると、その後ホテルの専修学校に通った。卒業後、札幌ススキノの赤坂プリンスホテルに入社した。1980年当時の札幌のススキノの夜は賑やかだった。バブル前のこの時期、日本全体が活気にあふれていた。各地の夜の街は華やかで、日本全体が景気が良く、日本全体が毎日お祭りような好景気だった。

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日本全国から札幌に訪れる人々は、赤坂プリンスホテルに宿泊し、北海道の海産物を堪能して、北海道の温泉を満喫するのがステイタスだった。当時の旅行雑誌はこぞってススキノ特集を組んだり、札幌の夜はに観光客でごった返ししていた。しかしススキノに限らず、日本全体の地方経済も景気が良く潤っていたのだ。当時のOさんはホテルマンとして赤坂プリンス札幌に勤務していたので、さまざまな恩恵を受けていた。そして札幌でも1流のプリンスホテルだったので、角界の政治家が利用していた。現在政治家の小●一郎は、当時はとある代議士の秘書をしていた。しかし、人をアゴで使う傲慢さはいただけなかったらしい。あまりいい印象はなく、ボーイをこき使い、小間使いのように部屋に呼んだり、人使いが荒々しかった。若かりし日の小●一郎氏はそんな人物だった。また、多くの芸能人や著名人にも逢ったという。

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当時の大スターと言えば、数々のヒット曲を連発したシンガーソングライターの松山千春さんもこのホテルの常連客だった。千春さんはよく、プリンスホテルのラウンジで仕事をすることがあったらしい。小雪が降る窓越しでコーヒー片手に作詞作曲とは、まさに絵になる光景です。その光景を見たファンが、Oさんにサインをもらってきてほしいと頼まれたそうだ。そして漫談の有名人「グラッチェグラッチェ」の「にせ産婦人科漫談」でも有名なケーシー高峰さんとは、「呑みに行こう」とよく誘われるほど飲み友達の仲だったらしい。

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友達というより付き添い?当時のススキノの夜はスナック全盛期でもあった。ケーシー高峰さんに、よく高級店に行って楽しんだらしい。なんとも羨ましい話だ。仕事が終わって3軒、4軒ハシゴするなんて当たり前のことだったらしい。金払いのいいケーシー高峰さんについていけば、知らない夜の世界を堪能できたという。また、ボーイをしていると、お客さんからチップをもらえるので、もらったチップが、給料以上になることもしばしばあったらしい。今では信じられないが、ススキノという夜の街は日本でも有数の一大歓楽地だった。

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そんな歓楽地にOさんは、夜、昼となくススキノの街で青春のど真ん中を過ごしてきたのだ。夜の街で堕ちていく人もいるが、ここでお金を貯めて将来のため、希望のため、に生きる人もいる。歓楽街に身を沈める人々というのは、酒と人と出会いが好きだという。ここでお金持ちのパパと知り合えば、太客としてマンションでも買ってもらったかも知れない。Oさんは、夜の街の誘惑に負けず、自分の生きる道を探すという、生き方を選んだ人だった。そして東京に戻り、再び赤坂プリンスホテルに就職した。私の記憶ではそこからどういう遍歴を経て、新宿のビジネスホテルに来たのか?不明だ。

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愛人ともなれば愛人契約もあるだろう。ホストなら、ひいきの女性客からマンションを買ってもらったりする。ちなみにOさんの叔母にあたる人は、これに当てはまり、ある時、億単位の遺産が入ったそうだ。その途端、地味な生活を辞めて、ホスト狂いになってしまった結果。いつのまにか億が消えていた??という、ホストに騙されて金を吸い上げられてしまった。たった3年の間のできごと。そういう怖い面と歓楽(陥落)という意味もあるのだろう?だから金とオンナにまつわる事件、事故は欠かせないのが夜の街なのだ。叔母さんは自業自得とはいえ、夜の街に騙された被害者といえるだろう。

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しかし叔母さんは、億を失ったことを後悔していないそうだ。女はたくましい。夜の歓楽街とは人間の欲望が渦巻く、悲喜こもごもの世界なのだ。そのおばさんは今では、生活保護らしい。笑うに笑えない現実。ちなみにこの叔母さんはお世話になった人なので、Oさんは保証人になっているそうだ。叔母さんにも息子はいるが、縁を絶っているらしい。Oさんとはそういう人なのだ。

つづく